未来の教育に求められるものとは?
- mantomansystem
- 11月7日
- 読了時間: 3分
「こんな勉強なんの役に立つの?」という子供に対する一つの回答です。

子供を教えていると、「こんなことを憶えても将来何の得にもならないじゃないか」「数学なら多少は役に立つけど、自分は文系に進むだろうから化学反応式を知っててもしょうがない」などと言われることがあります。
実はこの問い、大人になった今こそ、改めて考える価値があるのではないでしょうか。
*サザエさんが教えてくれた「化学の意外な力」
昔読んだ『サザエさん』の漫画に、こんな場面がありました。海外旅行中のサザエさんがけがをしたか何かで、オキシドール(過酸化水素水)を探すのですが、現地の人にどう伝えても通じません。困り果てた末に、ふと高校の化学を思い出して「H₂O₂!」と叫ぶと、ようやく通じたのです。そして彼女はこうつぶやきます。
「高校時代の化学の勉強が役に立ったわね。」
その一言には、学校での学びの本質が詰まっているように感じます。日々の勉強が、すぐに役に立たないように見えても、知識は人生のどこかで思わぬ形で私たちを助けるのです。
*「覚えること」と「理解すること」の違い
教育心理学や認知科学の分野では、「スキーマ(知識の枠組み)」という概念があるそうです。新しい知識は、既に持っているスキーマと結びついて初めて理解が深まります。逆に、誤ったスキーマを持ったまま学ぶと、どんなに時間をかけても本質にはたどり着けません。
つまり、暗記はスタート地点であり、理解はそこからのプロセス。経験や年齢を重ねることでスキーマが更新され、昔習ったことの“意味”がようやく腑に落ちる瞬間が訪れるのです。
*これからの教育に必要なもの
学校及び家庭での教育は、自分の周りにあるいろいろなものが先人たちの知恵の結晶であることを教え、それに対する興味を引き出すことが必要でしょう。最初は知識を教える以外にはありませんが、子供がそれについてもっと知りたい、という欲求を持たせるように指導する必要があります。
実に自然に伸びている生徒のご家庭は、受験という枠に縛られずに、いろいろなことに興味を持たせているそうです。別に一流校に行かなくてもいいから、というスタンスですが、子供さんは、なぜそうなるのか、を常に考えて、何で間違えたのかも調べる習慣がついています。いろいろなことに興味を持つことは、自分の誤りを探求する好奇心を持たせることにつながるのだと感じます。
つまり、これからの教育に必要なのは、「知識を教える」から「学び方を教える」への転換です。子ども自身が興味や疑問を持ち、それを探究していく姿勢をどう支えるか。そのためには、家庭や社会も「学びを支える環境」としての役割を担う必要があります。
私たち大人が、自らの過去の学びを思い出し、「あの知識が今こうして役立っている」と気づくこと。それが、子どもたちに「学ぶ意味」を伝える一番の説得力になるのかもしれません。



コメント