子供が14人一列に並んでいます。ことねさんの前には7人います。ことねさんの後ろには何人いますか?
これは小学1年生の問題です。ところが3年生でも30%の正解率、4年生でも50%の正解率だそうです。
入会面談をした際に、読解力がないので算数の文章題が苦手だとおっしゃる保護者の方がいらっしゃいますが、認知科学の専門家が言うには、これは読解力の問題というより、そもそも問題を読んで考えようという意識がないからだそうです。さらには、算数の文章題を考えて解いたときの喜びを味わった経験が少ないせいではないか、と推論しています(算数文章題が解けない子供たち(今井むつみ著))。
そのような生徒はとりあえずそこにある数を使って答えを出そうとするだけで、常識的にみてそれが正しいかを検証しようとしない、という習慣が作られてしまっている可能性があります。
こういった問題を解くことができる生徒は、与えられた情報を図にしたり、メモしたりして丁寧に考えることができるそうです。マルを書いていけばわかりますね。
実際に中学生を教えていても、出てきた答えを検証せずに、5.1人います、と人数を小数点を使って答えてしまう生徒が時々います。そういう生徒は決して頭が悪い、というわけではなく、出した答えを検証する習慣が欠如していることも一因ではないかと思っています。
また、4リットルのジュースを8人で分けたら1人何リットルになりますか、という問題は中学生でも2リットルと誤ってしまうことが多くあります。小学生の時に割り算をして整数になることが多いと、答えが整数となってほしいという意識ができあがって、分数の答えを不自然に感じてしまう頭ができあがってしまうのではないでしょうか。
文章題が解けない原因は複合的ですが、小学校の時にバツがついてきた問題を直さずに放っておくと、誤った意識が是正されずに中学になってもそれを引きずってしまい、いつの間にか劣等感に変わってやる気も失うケースが多いと聞いています。
個別指導塾の責務は、一人一人の間違える原因を拾い上げて、丹念に直していくこと、ひいては解ける喜びを与えてあげることだと考えています。
もし可能であれば、幼いうちから日常生活の中で「なぜ」を見つけ、因果関係を推論する習慣をつけさせるとよいでしょう。これは言葉や文字を小さいうちから教えるということより重要だと思っています。小さいお子さんを持つご家庭は今日からでも実践してみて下さい。
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