東大生の作り方
- mantomansystem
- 5月25日
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東大に合格する生徒には、いくつかの共通点があります。それは「負けず嫌い」「人に頼らない」「好奇心が旺盛」であるということです。
もちろん、生まれ持った能力に多少の差はあるでしょう。しかし、「東大生の親の平均年収が高いから、小さいころから塾に通わせてもらえた」というような見方は、あくまで一側面にすぎません。
私が現在教えている生徒たちの多くは、毎日習い事でスケジュールが埋まり、複数の塾を掛け持ちしているケースも珍しくありません。けれども、果たして彼らが東大に合格できるかというと、残念ながら難しいと感じることが多いのです。なぜなら、多くの生徒が「皆がやっているから」「親に言われたから」通っているだけで、学びへの主体的な意欲が感じられないからです。
塾漬けでなくても、工夫次第で東大に合格できる
私自身の話をすると、両親は旧制中学卒、姉二人は高卒で、大学に進学したのは家族の中で私だけでした。東京育ちではありますが、塾に通ったことは一度もありません。当時は、それがごく普通のことだったのです。
小学生のころ、塾に通っていたのは「いいとこの子」が私立受験を目指していたか、高校で受験をする不安から中学受験を選ぶ子どもたちでした。中学・高校に進学してからも、塾に通っている友人はほとんどいませんでした。
高校時代、数学は「解法のテクニック」を繰り返し読み込み、人に説明できるレベルまで理解を深めました。英語は、NHKラジオの岩田一男先生の講座を聞いていましたが、当時はほとんど理解できていませんでした。今思えば、英文の構造をしっかりと捉える力が弱かったのだと思います。
そんな中、高校2年のときに、ジョージ・オーウェルの『Animal Farm』を1年間かけて読む授業がありました。市販の単語帳などはほとんどなく、「赤尾の豆単」くらいしか選択肢がなかった時代です。私は単語帳すら使わず、文脈から意味を推測する訓練を『Animal Farm』を通して繰り返しました。その経験が、英語力の基礎になったと思います。
国語は決して得意ではありませんでしたが、家にあった『平凡社 少年少女世界文学全集』を小学生のころ片っ端から読んでいたおかげで、語彙力が自然と身につきました。親から「読みなさい」と言われたわけではありませんが、姉たちが読んでいた影響もあり、自然と本に親しむようになりました。活字に対する抵抗がなかったのは、後々大きな助けになったと感じています。両親には感謝しかありません。
勉強は「自分で考える工夫」がすべて
誤解してほしくないのは、「あまり勉強しなくても東大に受かった」と言いたいわけではない、ということです。むしろ、当時は誰もが塾に頼らず、自分なりに工夫して、効率の良い勉強法を模索していた――そんな時代の空気を伝えたいのです。
私の場合は、「他人に説明できるかどうか」を一つの判断基準にしていました。数学の公式なども、暗記ではなく「なぜそうなるのか」を理解しようとしていました。歴史もただ年号を覚えるのではなく、文庫本を読んで楽しみながら、その時代の背景をつかもうとしていました。
こうした姿勢のおかげで、高校までの勉強で燃え尽きることもなく、大学入試に向けてのモチベーションを保ち続けることができたのだと思います。
親にできる、本当の支援とは
では、親が子どものために本当にできることは何でしょうか。それは、「自分で考えることの大切さ」を味わわせ、小さな成功体験を積み重ねさせることだと私は思います。その積み重ねこそが、将来、子どもが大きな壁を乗り越えるための力になります。
たとえば、子どもが自主的に勉強を始めた、家の手伝いをした、新しいことに挑戦した――そんなときは、「自分でやろうと思ったんだね、すごいね」「昨日より早く終わったね、工夫したんだね」と、具体的に声をかけてあげることが大切です。そうした言葉が、自己効力感(=自分はできるという感覚)や自己肯定感を育んでいきます。
夏休みの自由研究のような機会も活用できます。一緒になって、「今、一番不思議に思うことは何?」「それ、面白いね。どう調べてみようか?」と、子どもの好奇心を引き出すような対話を重ねていくとよいでしょう。
気をつけたいのは、親の「よかれと思ってやっていること」が、かえって子どもにとって負担になっていることもあるという点です。過度に先回りしたり、スケジュールを詰め込みすぎたりすると、子どもの向上心や自主性を削いでしまうこともあります。
難しいことですが、子どもが自分で考え、工夫し、行動する機会を親がどう作ってあげられるか。それが、学力以上に大切な「生きる力」につながるのではないでしょうか。
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